遺品整理で捨ててはいけないもの15選!処分のポイントも解説

お役立ちコラム

 

遺品整理の際、重要な書類や思い出の品をうっかり処分してしまい、あとから後悔するケースは少なくありません。
逝去に伴う各種手続きの遅れや家族間のトラブルを防ぐためにも、残すべき遺品はきちんと見極めたいものです。

そこで本記事では、遺品整理で処分してはいけないものと、捨てる際のポイントを解説します。
故人と家族、どちらにとっても大切な遺品を正しく扱うために、ぜひ最後までご覧ください。

遺品整理で捨ててはいけないもの

それではさっそく、遺品整理の際に残しておくべきものを紹介します。
以下の項目を一つずつ解説していくので、迷ったときの判断材料としてお役立てください。

遺品整理で捨ててはいけないもの

  • ①遺言書
  • ②遺産分割に必要なもの
  • ③故人の身元確認書類
  • ④印鑑・印鑑登録証
  • ⑤契約書類・借用書・債務に関する書類
  • ⑥税務に関する書類
  • ⑦年金手帳
  • ⑧戸籍謄本・住民票の除票
  • ⑨保険証券(生命保険・火災保険など)
  • ⑩介護保険被保険者証
  • ⑪鍵
  • ⑫故人がレンタルしているもの
  • ⑬思い出の品
  • ⑭売却価値があるもの
  • ⑮デジタル遺品

①遺言書

遺言書とは、故人によって記された、法的拘束力のある文書のことです。
財産の分け方や、家族に対する希望・メッセージが記載されます。

遺言書は、“公正証書遺言・秘密証書遺言・自筆証書遺言”の3種類に分けられます。
このうち、公正証書遺言と秘密証書遺言は、公証役場で作成・保管されるため、所在が明確です。

一方、本人の意思で自由に作成できる自筆証書遺言は、引き出しの中や日記帳のあいだなどに保管されていることがあり、ほかの書類に紛れて見落とされやすい傾向にあります。
自筆証書遺言を処分してしまったり、発見した際に意図的に隠したりすると、刑法第259条の“私用文書毀棄罪”に問われる可能性があるため、取り扱いには注意が必要です。

参照元:e-Gov法令検索「刑法第二百五十九条」

②遺産分割に必要な書類

遺産分割を進めるうえでは、現金や預貯金だけでなく、相続に関するさまざまな書類の用意も欠かせません。
遺産分割で必要となる書類の具体例は、以下の通りです。

遺産分割で必要となる書類

  • 現金・預貯金通帳
  • 土地・建物の権利証
  • 有価証券・投資信託の取引報告書
  • 登記事項証明書
  • 固定資産税納税通知書
  • 借入金・ローンの明細書
  • 保険証券
  • 株式・証券取引の報告書
  • 自動車の車検証
  • 賃貸契約書

これらをうっかり処分してしまうと、財産の全体像を正確に把握できず、遺産分割の協議や税務手続きが滞るおそれがあります。
内容が不明確な書類があったとしても安易に処分せず、専門家の助言を受けながら慎重に整理を進めることが大切です。

③故人の身元確認書類

遺品整理の際は、故人の身元確認書類も誤って捨てないよう気をつけましょう。
なぜなら、故人が生前に利用していたサービスの解約時に、身元確認書類の提出が求められることがあるためです。

近年では、サブスクリプション型のサービスが普及しており、知らぬ間に料金が引き落とされつづけている、というケースも少なくありません。
不要な支出を防ぐためにも、身元確認書類を用いて早めに解約手続きを進めることが重要です。

以下は、捨てずに保管しておきたい身元確認書類の例です。

保管しておきたい身元確認書類の例

  • 運転免許証
  • 健康保険証
  • パスポート
  • マイナンバーカード

身元確認書類は、財布やカードケースに入っている可能性が高い傾向にあります。

見つけた際は、紛失しないようファイルにまとめておくのがおすすめです。

④印鑑・印鑑登録証

印鑑は、預貯金の解約や保険金の請求など、多くの場面で必要とされます。

特に実印は、身元確認の正式な手段として扱われ、それが本人のものであることを証明する“印鑑登録証”とともに提出を求められるケースがあります。
もしも紛失してしまうと、再登録や証明書の再発行に手間がかかり、相続の進行に支障をきたす可能性があるため、きちんと保管しておくのが賢明です。

印鑑は、ポケットや引き出し、また筆箱の中など、いたるところに保管されている可能性があるので見落とさないよう注意しましょう。
あわせて、印鑑登録証の場所も確認し、必要書類として確実に保管しておくことが大切です。

⑤契約書類・借用書・債務に関する書類

故人が取り交わしていた契約書や借用書、債務に関する書類などは、相続手続きにおいて欠かせない資料です。

これらは、プラスの財産だけでなくマイナスの債務を把握するうえでも、重要な根拠として利用されます。
特に借入金の残額が判明した場合は、相続放棄や限定承認といった判断を行う際の参考資料となるため、簡単に処分してはいけません。

また、故人が誰かにお金を貸していたケースでは、その債権も相続の対象に含まれるので、貸付契約書や返済計画書なども破棄せず残しておく必要があります。

債務・債権いずれの場合でも、内容を確認するまでは慎重に扱い、保管しておくことが望ましいといえます。

⑥税務に関する書類

故人が行っていた確定申告や納税に関する書類、また税務署からの通知書などは、相続税や所得税の手続きで必要となる場合があります。

特に、相続税に関する税務調査が行われる際には、過去の申告状況を確認されることもあるため、目安として5年程度は保管しておくとよいでしょう。
書類の扱いに不安がある場合は、税理士をはじめとする専門家に相談しながら整理することをおすすめします。

⑦年金手帳

年金手帳は、故人の年金加入状況や基礎年金番号が記載された書類です。
国民年金や厚生年金の未支給分の請求、遺族年金の申請、加入記録の確認といった場面で提示を求められることがあります。

また、故人が年金を受給していた場合には、死亡後10日以内(国民年金の場合は14日以内)に“受給権者死亡届”の提出が必要です。
届出が遅れると、死亡後も年金が支給されつづける可能性があり、その場合は後日返還手続きが発生するため、最寄りの年金事務所または役所窓口へ速やかに提出しましょう。

⑧戸籍謄本・住民票の除票

戸籍謄本や住民票の除票は、相続人の確定や財産の名義変更を行う際に求められる書類です。

戸籍謄本は相続人を確定する際に必要となる書類で、故人の出生から死亡までの記録を通して、すべての相続人を把握することができます。
また、住民票の除票は、故人が亡くなった事実を証明する際に利用されます。

これらの書類は役所で再発行が可能ですが、取得には時間を要するため、遺品整理で見つかった場合は安易に破棄せず、大切に保管しておくことが重要です。

⑨保険証券(生命保険・火災保険など)

生命保険や火災保険といった各種保険証券は、保険金を請求したり契約を解約したりする際に原本の提出を求められる場合があるため、確実に保管しておいてください。

もしも故人が契約していた保険について、家族がその存在を知らずに放置してしまうと、せっかくの保険が失効する可能性もあります。
保険が失効すると、保険金を受け取れなくなるリスクが生じるので、こうした事態を避けるためにも保険証券の管理は慎重に行いましょう。

また、火災保険や地震保険に関しては、相続した不動産の管理や売却時に内容を見直さなければなりません。
自宅にある書類だけでなく、保険会社から届く郵送物や案内通知も一緒に保管しておくと、その後の手続きがスムーズに進みます。

⑩介護保険被保険者証

介護保険被保険者証は、故人が介護サービスを利用していた場合に必要となる書類であり、市区町村に返却を求められることがあります。また、契約の解除手続きや利用実績の確認、未払い分の精算などにも使用されるため、すぐに廃棄せずに保管しておきましょう。

介護保険に関するそのほかの資料としては、ケアプランや利用明細書なども挙げられます。
これらは、高額介護サービス費とよばれる、自己負担が一定額を超えた際の払い戻し申請で使うことがあるため、医療や介護の書類はまとめて管理しておくと安心です。

⑪鍵

故人が所有していた家屋や自動車、金庫、貸倉庫などの鍵も、残しておくべき遺品です。

特に金庫やロッカーの鍵は、紛失してしまうと専門業者による開錠が必要となり、余計な費用や手間が発生するおそれがあります。
用途がはっきりしない鍵であっても、あとから不動産や設備の存在が判明する場合もあるため、むやみに処分せずに取っておきましょう。

鍵はサイズが小さく、衣類のポケットや引き出しの中など、思わぬ場所に紛れ込んでいる場合が多いので、細部まで注意深く探すことが重要です。

⑫故人がレンタルしているもの

故人の遺品のなかには、レンタル品やリース契約中の物品が含まれていることがあります。
これらは故人の所有物ではなく、契約先の業者から貸与されているものであるため、勝手に処分すると損害賠償や違約金を請求されてしまうかもしれません。
レンタル品やリース品の例は、以下をご覧ください。

レンタル品やリース品の一例

  • CD・DVD
  • ウォーターサーバー
  • Wi-Fiルーター
  • パソコン
  • 自動車
  • 医療機器

上記に挙げた物品がレンタル品やリース品であった場合、管理番号や業者名のステッカー・ラベルが貼られていることが多く、それが識別の手がかりとなります。
不要と判断してすぐに処分するのではなく、早めに契約業者へ連絡を取り、正しい手続きを行いましょう。

⑬思い出の品

故人の写真や手紙、記念品、趣味の道具、愛用品などは、家族の心に深く関わる存在です。
安易に処分してしまうと、あとになって「取っておけばよかった」と後悔することになりかねません。

思い入れの感じ方は人それぞれで、ある人にとっては何気ないものが、別の人にとってはかけがえのない記憶の象徴として大切にされていることがあります。
家族間での感情的な行き違いを防ぐためにも、思い出の品をどう扱うのかについては、あらかじめ話し合って意見を共有しておくことが不可欠です。

⑭売却価値があるもの

貴金属や宝石、美術品などの売却価値のあるものは、現金や預貯金と同様に相続財産として扱われます。
そのため、安易に処分したり価値を判断せずに家族間で分けたりしてはいけません。

一見して価値がわからないものでも、専門家による鑑定を受けた結果、思わぬ高額査定を受けるケースも存在します。
なかでも美術品や骨とう品は、高額になる可能性を秘めています。
市場価値が絶えず変動しているため、正確な価値が知れるよう、遺品整理が落ち着いてから業者に査定を依頼するとよいでしょう。

⑮デジタル遺品

遺品整理の際は、スマートフォンやパソコン、タブレットなどのデジタル遺品も処分してしまわないようお気をつけください。

これらの端末には、故人が大切に保管していた思い出の写真やメッセージが残っていることがあります。
軽率に処分すると、データを取り戻せなくなって後悔することになりかねません。
くわえて、暗号資産や金融情報が含まれていた場合には、適切な確認をしなければ相続手続きに支障をきたすこともあるため、慎重な対応が求められます。

また、デジタル遺品のなかには、家族に見られたくないプライベートなデータが含まれていることも十分に考えられます。
遺言書やエンディングノートに、データの取り扱いに関する希望が記されていないか、あらかじめ確認しておくことも肝要です。

遺品整理でものを捨てる際のポイント

ここからは、遺品整理でものを捨てる際にチェックしておきたいポイントを解説します。
以下のポイントは、遺品整理が本格的に始まる前に確認しておきましょう。

遺品整理でものを捨てる際のポイント

  • ポイント①専門業者に遺品整理を依頼する
  • ポイント②生前に話し合いを行う
  • ポイント③遺言書やエンディングノートを確認する
  • ポイント④ものを捨てる基準を決めておく
  • ポイント⑤写真や思い出の品をデジタル化する

ポイント①専門業者に遺品整理を依頼する

捨ててはいけないものを処分しないためには、遺品整理の専門業者に依頼する方法があります。

専門業者に遺品整理を依頼すれば、作業時間や精神的な負担を大きく軽減できるだけでなく、長年の経験に基づいた的確な仕分けのアドバイスも受けられます。
また必要に応じて、家具や家電といった不用品の処分・買取まで任せられるので、効率的に整理を進めることも可能です。

ただし、遺品整理業には特別な資格が不要で、悪質な業者が紛れていることもあるため、依頼する際の業者選びには気をつけたいところです。
トラブルを避けるには、複数の業者から見積もりを取る、あるいは保有している営業許可や資格をチェックするなどして対策を講じましょう。

ポイント②生前に話し合いを行う

遺品整理において“残すべきもの”と“処分してよいもの”の判断に迷わないためには、故人が生前のうちに家族で話し合っておくことが非常に重要です。

故人本人の意向をあらかじめ確認しておけば、遺品整理の際の不安や迷いを減らせるので、円滑に作業を進めることができます。

さらに、遺品整理に関する費用負担や作業の分担、遺産の分配方法についても、生前に整理しておくと、将来的なトラブルを防ぐことにつながるでしょう。
可能であれば、遺産の分け方について相続人全員で協議し、“誰がどの財産を受け取るのか”を明文化した遺産分割協議書を作成しておくと、手続きもスムーズに行えます。

ポイント③遺言書やエンディングノートを確認する

遺言書やエンディングノートの内容を確認することも、遺品整理を進める際のポイントです。

遺言書は、前述の通り法的効力のある文書なため、その内容に沿って整理を行えば、相続時のトラブルを未然に防げます。
またエンディングノートには法的効力はありませんが、故人の思いや希望が記されているので、大切な遺品の所在や残してほしい品について把握する際に役立ちます。
まずはこれらを確認したうえで遺品整理を行えば、故人の意向に沿ったかたちで丁寧に進めることができるでしょう。

なお、遺言書が正式な書式で作成されていない場合は、法的な効力が認められず、家族間で遺品の処理について話し合わなければなりません。
遺言書は故人の意志を示すものなので、内容に特に問題がなければ、正式であるか否かにかかわらず尊重して整理を進めるのが望ましいとされています。

ポイント④ものを捨てる基準を決めておく

遺品整理で残すものが多くなりすぎると保管や管理に手間がかかるため、捨てるか否かを決める基準を、あらかじめ設定しておくことが大切です。

たとえば、故人との思い出が深いものは一旦残す、あるいは長期間使われていない日用品は捨てるといったルールを決めておくと、作業中に迷いが生じにくくなります。

さらに、基準を家族間で共有しておけば、遺品整理の効率化はもちろん、のちのトラブル防止にもつながります。
こうした決めごとをもとに進めれば、遺品整理をスムーズに終えることができるでしょう。

ポイント⑤写真や思い出の品をデジタル化する

処分するか否かの判断に迷いがちな、写真や手紙などの思い出の品は、デジタル化するのがおすすめです。

スキャナーやスマートフォンのカメラ、コンビニの複合機などを活用すれば、専門業者に依頼せずとも手軽にデータ化できます。
もちろん、作業が難しければ、写真店をはじめとする専門業者に依頼してもよいでしょう。

デジタル化することで、物理的なスペースを取らずに保存が可能で、クラウドやUSBメモリなどに保管すれば、必要なときにすぐに見返せます。

遺品を捨てることによって起こりうるトラブル

ここからは、大切な書類や物品を捨ててしまうことで、どのようなトラブルが起こりうるのか見ていきましょう。
事前に把握しておくことで、トラブルを未然に防ぎやすくなります。

遺産分割で問題になる

遺品整理で重要な書類を誤って処分してしまうと、遺産分割で問題が発生する可能性があります。

特に、遺言書や現金・預貯金通帳、不動産の権利証といった書類を失うと、遺産分割の話し合いが難航し、手続きが滞ってしまいます。
こうした事態を避けるためにも、遺品の整理は家族と連携しながら進め、書類の取り扱いには細心の注意を払うことが重要です。

相続税の申告漏れにつながる

確定申告書や納税に関する書類、税務署からの通知書といった遺品を安易に処分すると、相続税の申告漏れにつながる可能性も高まります。

遺産を受け継いだ際には相続税の申告が必要となる場合があり、相続税の申告期限は、相続の開始を知った日から10か月以内と定められています。
また、故人が生前に給与や事業収入などの所得を得ていた場合には、“準確定申告”として、死亡後4か月以内に所得税の申告と納税を行わなければなりません。

これらの手続きを怠ると、“過少申告加算税”や“無申告加算税”が課される可能性があり、本来よりも多くの税金を負担することになってしまいます。
そのため、遺品整理の際は税務関連の書類を誤って処分しないよう注意し、必要な情報をもとに正確な手続きを進めることが大切です。

捨ててしまったことを後悔する

故人との思い出が詰まった品々は、手放したあとに「残しておけばよかった」と感じることも少なくありません。
感情的な価値を持つものはすぐに捨てずに、一度立ち止まって本当に手放すべきかどうかを慎重に判断することが重要です。

遺品整理で捨ててはいけないものは、遺言書や遺産分割に必要なものなどが該当する

今回は、遺品整理時に捨ててはいけないものと処分する際のポイントを解説しました。

遺品整理で残しておきたいものは、遺言書や遺産分割に必要な書類などさまざまです。
重要な書類を誤って処分すると、遺産分割や相続税の申告に支障をきたす可能性があります。
こうしたトラブルを避けるために、遺品整理の際は本当に捨ててもよいのかどうかを慎重に見極めましょう。

とはいえ「遺品整理が必要だけど処分するかどうか判断に迷う……」という方もいらっしゃるかもしれません。

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