大切な方が亡くなった際に必要な作業の一つとして、遺品整理があります。
遺品のなかには故人が愛用していた物も多く残っているため、「何から始めればよいのかがわからない」とお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで本記事では、遺品整理の進め方をポイントと併せて解説します。
故人の思い出が詰まった遺品を、心を込めて整理するために、ぜひ参考にしてください。
遺品整理の進め方
実際に遺品整理に取り掛かる際には、以下のような手順で進めていきます。
遺品整理の進め方
- ステップ①遺言書やエンディングノートを確認する
- ステップ②スケジュールを立てる
- ステップ③必要な道具を準備する
- ステップ④遺品を仕分けする
- ステップ⑤形見の遺品を分配する
- ステップ⑥不要な遺品を処分する
- ステップ⑦部屋を清掃する
ステップ①遺言書やエンディングノートを確認する
遺品を仕分けする前に、故人の遺言書やエンディングノートがあるかどうかを確認しましょう。
遺言書には主に公正証書遺言と自筆証書遺言、そして秘密証書遺言の3種類があり、内容を確認する方法はそれぞれ異なります。
公正証書遺言の場合は公証役場で内容を確認し、自筆証書遺言と秘密証書遺言の場合は、家庭裁判所による検認を受けてその信頼性を確かめることが必要です。
なお遺言書には法的効力があるため、遺品整理に関する指示が書かれている場合は、その内容に基づいて進めてください。
また、エンディングノートには法的効力がありませんが、相続や葬儀に関する希望が記されているため、それらを行う際には参考にするとよいでしょう。
ステップ②スケジュールを立てる
遺言書やエンディングノートの確認が終わったら、遺品整理をスムーズに進められるようにスケジュールを立てます。
まずは、遺品整理を始める日と終わらせる日を決めましょう。
「今日は寝室のクローゼット」「明日は玄関周り」など、場所ごとに細かく時間を割り振っておくと、計画的に作業を進めることができます。
複数人で作業する場合は、誰がどこを整理するのかも決めておくと作業に取り掛かりやすくなります。
ステップ③必要な道具を用意する
遺品整理の計画を立てたあとは、遺品を仕分けするために必要な道具を準備します。
作業の際によく使用する道具は、作業にあたる人数分用意しておくと、効率よく進められるでしょう。
用意する道具については後述しますので、そちらをぜひ参考にしてください。
ステップ④遺品を仕分けする
遺品の仕分け作業は、遺品整理のなかでもっとも重要なステップです。
故人が生前に使用していた物を、以下の4つの項目に分けます。
遺品整理で仕分けする4つの項目
- 形見として残す物
- 相続する物
- リユースやリサイクルをする物
- 処分する物
形見に残す物としてはアクセサリーや衣服などが代表的で、後ほど親族や故人と親しかった方々に分配します。
量が多くなる場合は分配する物だけを整理し、そのほかのものは写真に撮って保存しておくとよいでしょう。
また貴金属や骨董品、現金は相続財産となるため、相続人と話し合って分配する必要があります。
ステップ⑤形見の遺品を分配する
遺品を仕分けできたら、相続財産以外の形見となる遺品を、親族や故人と生前に親しかった方々に分配します。
「何を誰に渡すのか」は、親族で話し合って決めるとよいでしょう。
そして相続財産は、遺言書がある場合はそちらの記載に従って分配し、遺言書がなければ相続人同士で遺産分割協議を行います。
ステップ⑥不要な遺品を処分する
不要な遺品は、状態や種類に応じて処分の方法を検討します。
まだ使用できる家具や家電は買取業者に買い取ってもらい、大型の不用品は粗大ごみとして処分しましょう。
手紙や写真など、故人の思い出が詰まっていて捨てづらいと感じる物は、寺院や神社で供養することで気持ちも整理できるかもしれません。
なお、不用品の処分は遺品整理のなかでも特に体力を使う作業なので、不用品の量が多い、もしくはサイズが大きい場合は、専門業者に処分を依頼するのもおすすめです。
ステップ⑦部屋を清掃する
荷物が片付いたあとに部屋を清掃すれば、遺品整理は完了です。
故人が賃貸の物件に住んでいた場合は、契約時のルールに従って原状回復を行う必要があります。
なお、通常の清掃では落ちない汚れやにおいがある場合は、専門業者に依頼すれば特殊な機材を用いて対応してくれます。
遺品整理を行う際に準備する物
先ほどお伝えしたように、遺品整理を行う際には、仕分けで必要な道具を準備する必要があります。
具体的には、以下のような物を準備しておきましょう。
遺品整理を行う際に準備する物
- 汚れてもよい服
- 軍手
- マスク
- スリッパ
- ゴミ袋
- 段ボール
- ガムテープ
- ビニールテープ
- カッターやハサミ
- ロープ
- ペン
- ペンチやドライバーなどの工具
- 台車
- 運搬用の車
これらの道具があれば、段ボールに品目を書く、またはビニールテープで色分けしてまとめるなど、効率的に作業を進められます。
なお複数人で遺品整理を進める場合は、道具を人数分用意しておくと、道具を探したり手渡したりする手間も省けます。
遺品整理は誰が行う?
遺品整理の進め方を確認したところで、次に誰が作業を行うのかを見ていきましょう。
前提として遺品整理は、遺品の所有権を相続する方が行うこととなっています。
ここでは、以下のような相続人の異なるケースごとに、遺品整理を担う方を解説します。
相続人の異なるケース
- ケース①法定相続人の場合
- ケース②指定相続人の場合
- ケース③すべての相続人が相続を放棄した場合
ケース①法定相続人の場合
遺言書で相続人が指定されていない場合は、法定相続人に該当する配偶者や血族が遺品を相続し、その整理も行うのが通例です。
この際、故人の配偶者は常に相続人となり、それ以外の血族は以下の順で配偶者とともに相続人になります。
血族の相続順位
第1順位 | 故人の子ども |
第2順位※第1順位の人がいない場合 | 故人の父母や祖父母 |
第3順位※第1順位、第2順位の人がいない場合 | 故人の兄弟姉妹 |
なお法定相続人が複数いる場合は、全員で遺品整理を行うか、話し合って遺品整理を行う代表者を決めます。
ケース②指定相続人の場合
故人が遺言書で相続人を指定している場合は、その相続人が遺品の所有権を引き継ぎ、遺品整理を行います。
ただし、指定相続人が相続したあとに残った遺品を、法定相続人が遺留分として相続することもあります。
トラブルを避けるためにも、指定相続人はほかの親族と話し合って遺品整理を進めるとよいでしょう。
ケース③すべての相続人が相続を放棄した場合
すべての相続人が相続を放棄した場合は、家庭裁判所に申し立てを行い、“相続財産清算人”を選出してもらう必要があります。
相続財産清算人とは、相続人がいない場合に故人の相続財産の管理や清算を行い、最終的に残った財産を国庫に帰属させる職務を担う人のことです。
相続財産清算人が選出されたあとは、その方が遺品整理を進めることとなるため、ほかの親族は関与しなくても構いません。
なお相続放棄を決めたら、財産を相続する意思があると見なされる行為は避けましょう。
たとえば、故人の部屋にある家具や家電を勝手に処分したり、預貯金を引き出したりすると、相続放棄が認められなくなる可能性があります。
遺品整理に最適な時期
遺品整理を始める時期は、法律で定められているわけではありません。
基本的には、ご自身の心の準備が整ったタイミングで始めるとよいでしょう。
ただし、故人の生前の住まいが賃貸の物件であった場合は、家賃の支払いや住居の明け渡しが必要となるため、管理会社に期限を確認しておくと安心です。
それでは、以下で遺品整理を始める一般的な時期をご紹介します。
遺品整理を行う一般的な時期
- 死亡後の手続きが完了したとき
- 親族が集まる法要のとき
- 気持ちの整理がついたとき
死亡後の手続きが完了したとき
故人が亡くなったあとには、役所でいくつかの手続きを行う必要があります。
死亡届は7日以内、社会保険の届け出は5日以内と決められており、早急に行わなければならないことが多いこの時期は忙しくなります。
こうした死亡後の必要な手続きが一通り終わったタイミングであれば、落ち着いて遺品整理に取り掛かれるでしょう。
親族が集まる法要のとき
四十九日や百日の法要のあとに、遺品整理を始める方もいらっしゃいます。
このような法要には、故人を失った悲しみを乗り越える意味が込められているため、一つの区切りとする場合もあるようです。
また親族が多く集まる機会でもあり、遺品整理に関する話し合いや形見分けも行いやすくなります。
心の整理がついたとき
ご自身の気持ちが落ち着いてから遺品整理を始めるのも、一つのタイミングです。
遺品整理は故人の思い出に触れる行為であり、心の整理がついていない状態で始めると思うように進まなかったり、気が滅入ったりするかもしれません。
その場合は、半年や一年などの期限を決めて、気持ちが落ち着くのを待ちましょう。
遺品整理に気が向かなければ、専門業者に依頼するのも一つの手段です。
プロに任せれば、ご自身の代わりに作業を行ってくれるため、精神的な負担も軽減できます。
遺品整理を進める際のポイント
ここからは、遺品整理を進める際に意識したいポイントを見ていきましょう。
遺品整理を進める際に意識したいポイント
- ポイント①気持ちを整理しておく
- ポイント②仕分けのルールを決めておく
- ポイント③遺品の処分は自治体のルールに従う
- ポイント④重要な物を処分しないよう気をつける
- ポイント⑤専門業者への依頼も検討する
ポイント①気持ちを整理しておく
遺品整理に取り掛かる前には、ご自身の気持ちを整理しておくことが重要です。
作業中に故人の思い出の品に触れると、精神的な負担を感じる方もいらっしゃいます。
それにより作業がなかなか進まなくなる可能性もあるため、故人に対する気持ちが落ち着いたタイミングで無理なく始めるとよいでしょう。
ポイント②仕分けのルールを決めておく
仕分けのルールをあらかじめ決めておくと、作業をスムーズに進められます。
特に複数人で作業する場合、ルールが共有されていないと、「残しておきたかった物を誤って捨てられてしまった」という取り返しのつかないミスが生じる可能性もあります。
明確な仕分けのルールを共有し、そのような事態を防ぐことが大切です。
ポイント③遺品の処分は自治体のルールに従う
遺品整理で出た不用品を処分する際には、自治体のルールに従いましょう。
分別のルールや回収日時、回収場所は自治体ごとに異なるため、処分の仕方を誤ると回収してもらえなかったり、トラブルに発展したりするおそれがあります。
処分する物が大量に出てきそうな場合は、専門業者に相談してもよいかもしれません。
ポイント④重要な物を処分しないよう気をつける
遺品整理では、形見として残しておく物以外にも保管すべき物があります。
その具体例を以下にまとめました。
遺品整理で捨ててはいけない物
- 身元確認書類(マイナンバーカードや健康保険証など)
- 年金手帳
- 通帳やキャッシュカード
- クレジットカード
- 不動産の権利証
- 印鑑登録証
- 仕事で使用していたパソコンや資料
故人の身元確認書類や年金手帳などは、死亡届を提出したあと、役所での手続きの際に必要となります。
また、故人が仕事で使用していたパソコンや資料などは、業務の引き継ぎで必要となるケースもあるため、見つかった場合は会社に連絡しましょう。
ポイント⑤専門業者への依頼も検討する
遺品の量が多かったり故人の住まいが遠方にあったりする場合は、遺品整理に多大な労力や時間がかかるため、専門業者への依頼も検討するとよいでしょう。
依頼には費用がかかるものの、遺品の仕分けから不用品の処分までを一貫して任せられるため、ご家族の負担を軽減できます。
遺品整理を専門業者に依頼するのがおすすめのケース
遺品はご自身で整理することも可能ですが、場合によっては専門業者に依頼したほうが作業による負担を軽減できます。
以下のケースに当てはまる場合は、専門業者への依頼を検討してみてください。
遺品整理を専門業者に依頼するのがおすすめのケース
- 整理する建物が遠方にある場合
- 整理する部屋が3つ以上ある場合
- 遺品の量が多い、またはサイズの大きな遺品がある場合
- 遺品を整理できる人がいない場合
なかでも故人の住まいが遠方にある場合は、遺品の整理だけでなく移動にも時間を要するため手間がかかります。
また、整理する部屋の数が多かったり、遺品の量が多すぎたりすると、遺品を仕分けする際の負担が大きくなるでしょう。
そのような場合でもプロに任せれば、専門のスタッフが複数人で作業にあたるため、遺品整理にかかる時間を減らせます。
遺品整理では、形見として残す物と処分する物を仕分けする作業が大切
本記事では、遺品整理の進め方とポイントを解説しました。
遺品整理を始める際には、スケジュールを組み、全体の見通しを立てることが大切です。
そして遺品の仕分けでは、形見として残す物が処分する物に混じらないよう、段ボールに品目を記載したり、ビニールテープで色を分けてまとめたりして明確に分けましょう。
遺品整理がなかなか進まずお困りの方には、専門業者への依頼をおすすめします。
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